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京大生が選ぶ感動した一問
第7回 京都大学
1986年 数学・前期

問題と解答例

問題

解答例

感動した理由

今回は、第8回との連作です。
みなさんはこの問題を見た瞬間にどのような印象を持たれたでしょうか。私はなんだか不思議な印象を受けました。

「本当にいつでも成り立つのかな?」という感覚を持ってしまい、  くらいで試していた記憶があります。もちろん、すべての場合で成り立つことが確認できてしまったので、帰納法でも使って証明しようと考えていたのですが、でもずばり、この問題を解くときに思いつくべき方法は、以下の変形の発想でしょう。

この形を思いついた瞬間に、与えられた条件がクリアに見えてくるのではないでしょうか。
上の変形に、問題文の条件から導いた、①  を合わせてみると、

となって、一気に示したい全容が明らかになると思います。解答例では非の打ちどころがないように、  を持ち出して、細かいところの議論も綿密に詰めてあるようなので、ぱっと見では少しわかりにくいかもしれませんが、完全な解答だと思います。一応、帰納法でも解答することが可能です。

難しい不等式の問題を考え抜いているときに、不等式と聞けばロボットのように「(左辺)-(右辺)、そして実数の2乗を作って、0以上を示す」と思い込んでいるような狭い視点から、式の捉え方を根本的に見直すような、より広い視点を持つことで、劇的に状況が改善します。この感覚に、かつて感動した思い出があります。

ところで、みなさんは「チェビシェフの和の不等式」というものをご存じでしょうか。
具体的には

が成り立ちます。
勘がよい受験生のみなさんはもう気づいているかもしれませんが、  として見直してみると……

となって、証明すべき式がここからも一発で導かれます。等号は成立しないので、この時点で証明終了です。

この不等式を知った後で「出題のベースはこの不等式か!」と気づいてこっそり喜んでいた記憶があります。まさに問題の本質は「チェビシェフの和の不等式」にあり、といったところでしょうか。

この「チェビシェフの和の不等式」ですが、「断りなしに突然、解答に用いていいのか?」と危惧される方もいらっしゃると思いますが、正直難しい面があると思います。やはり自分で証明したこともない不等式を知ったかぶりして使うことは、当然禁忌といえるでしょう。

私自身も「知ったかぶりしている」と思われたくはないので、証明は『京大生が選ぶ感動した一問』「第8回」の中で完結させたいと考えています。

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