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京大生が選ぶ感動した一問
第4回 京都大学
1993年 化学・前期

問題と解答

問題

解答

感動した理由

問題を見て、「普通の熱化学方程式の問題ではないな」と感じると思いますが、案の定、普通の問題ではありません。

NeClといういかにもあり得なそうな物質を考える部分と、静電エネルギーと実際の格子エネルギーの検討をする部分が山場だと思いますが、後半の山場は漠然としがちな格子エネルギーに具体的なイメージを与えてくれる場だったので感動しました。

さて、そもそも後半の山場の

この式ですが、なぜ出てきたのでしょう?どこか見覚えのある方は物理も選択しているのではないでしょうか。他にも万有引力や磁気で似ている公式が出てきますよね。実はこの式を点電荷の静電エネルギーから導くことができるので、後からもう一回感動しました。

物理を習っている方であれば、化学の知識と合わせて、クーロン定数κ、ファラデー定数  、アボガドロ定数  はご存知だと思います。まず、電荷数  をもつイオン1個は  クーロンであるとします。1molの電子  が  クーロンに相当することを考えると

と書くことができるでしょう。

そもそも2個の正の点電荷があれば、反発するので、上図のように力がかかります(クーロンの法則)。このときのエネルギーは無限遠を基準に2個の電荷  と  にかかる力を積分して

のように求めます。よく言われる注意ですが、「力の向き」と「無限遠から近づいてくる積分の向き」が逆なので、マイナスがつきます。詳しくは教科書を参照してください。ただし、今回の問題では  が負の電荷をもつので、問4の答えのエネルギーは負の値で出てきます。

ここに①と②を代入して

また、文中で  はkcal単位だったので、1cal=4.184Jであることを勘案すると、1kcal= 4184Jでジュール単位に直せます。

さらに  はnm単位だったので、

最後にすべての定数に値を代入すると

これを計算すると確かに

が出てきました!単位の変換などがややこしいですが、本質的には物理で習った静電エネルギーを出題者が計算しやすいようにもともと与えてくれていたのです。

このように導出の過程も考えて問題を見てみると「結晶を粉々に壊して無限遠まで飛ばすエネルギーが格子エネルギーの一部なのかな」と考えたり、やはり「エネルギーの根底には物理の公式があるのだな」と思ったりします。

科目としては分かれている領域ですが、案外接点をもっているのだと気が付くと、いろいろな問題を考える過程にもおもしろみが出てくるのではないでしょうか。

計算に用いた物理量・公式

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